犬走りの廊下
いよいよ、旧多芸小学校が解体されます。来年1月には工事
が始まり、3月には、全く違った風景になる予定です。
そこで、校舎をキチンと整理した状態で、「多芸小学校とお別れをしよう」という意図から、多芸公民館が主催して、校舎の中を中心にした見学会(お別れ会)が、昨日12月17日の午前10時から2時間ほど行われ、一般開放されました。残っているのは、玄関及び校長室と職員室、そして普通教室の名残りを残す一教室のみですが、現在の校舎とは、ちょっと違った「昭和の学校らしい」校舎を眺めながら、懐かしむ皆さんの姿がありました。
特徴的なのが、犬走りの廊下です。今とは違って、子供たちは、玄関から土足のまま教室前まで進み、教室前の下足置き場に履物を置き、そのまま廊下に上がり、教室に入りました。当
時は廊下に並んで「渡り廊下」が敷かれていたと思います。
下 足 箱
また、職員室や教室にも、昭和なりの工夫があったようで、南側や廊下側の窓の下や側には、物がおけるように多くの棚が取り付けられています。時には、複数の教室の壁を取り除いて、そこを式場や学芸会等の会場にするためには、今のように「教室の後」に物置は作れないわけで、それなりの工夫が見られます。
教室の南側 教室の北側
昭和33年に改築され、昭和44年3月で廃校になった「旧多芸小学校」の校舎、その大部分は廃校と同時に取り壊されましたが、一部は、平成2年までは、多芸公民館として使われ、その後は「多芸東部土地改良区事務局」としての機能を果たしてきました。廃校後54年間も地域のために頑張ってきた「旧多芸小のこの校舎」。心から「ありがとう」とのねぎらいの言葉をかけたいと思います。
大正10年「多芸小学校」の学校設立以来、実に100年余にわたって、多芸地区の原風景となってきた多芸小学校、この景色が全く変わってしまうのは、とても残念なりません。
だからこそ、記録だけは、いつまでも大切に保存しておきたいと思います。